歯科麻酔と医科麻酔の問題。。

投稿日:2015年1月6日

カテゴリ:医院ブログ

札幌の問題から始まり、三井記念病院で再燃し。。しばらく落ち着いていた歯科医師と医科麻 酔研修の問題がまた出てきた。一般の方には分かりにくい問題だが、歯科医師も全身麻酔をすることができるのである。自分も直接や指導も含めたりすれば、 1500例以上に関わっている。沖縄の離島に全身麻酔をかけに行ったりしていたし。。実際はもっと多いかもしれない。。

全身麻酔は歯科でも医科でもやることは同じである。全く同じ薬剤、機器を使うのだ。当然併用する硬膜外麻酔や輸血やリスクなどで異なる部分はあるが、歯科で全身麻酔をかけていればお腹を切ることも可能なんである。
実 際、交通外傷で全身の多発骨折なんて場合には口腔外科(歯科)が顎を固定しながら、足や手は整形が同時とかの手術もよくあった。誤解を受けるといけない が、これは歯科麻酔医も医科麻酔ができるので同じ仕事ができる。。凄いだろうということを言っているのではない。中には凄く優秀な歯科麻酔医もいるが、ラ イセンスが違うので医科の麻酔をしたいのなら医者になればいいと思う。できるということと生業にするということは違うのである。よく麻酔科医不足を歯科麻 酔医で!なんて言う歯科医師もいるようだが、全くもってナンセンスであり、現実を分かっていない。我々は我々の領域でベストをつくすべきである。

現在基本的に歯科医師は、歯科と口腔外科領域に限ってという明確なルール(ちょっとグレーな部分もあるが。。)がある。ただし研修に限っては医科指導の下で全身麻酔ができるのである。もちろん学会に登録し、患者同意が必要で、仕事としてやってはいけないなどの規制がある。
自 分も10年以上前に医学部の麻酔科で毎日研修していた。朝の6時過ぎには手術室に入り、用意やら準備をし、深夜まで麻酔をしていた。歯科領域の麻酔を経験 しないで、医科麻酔の研修に行けたので、非常にいい勉強であった。歯科医人生の分岐点だったとも思う。そこでは歯科医師が医師の真似をするのではなく、自 らのライセンスの限界と可能性を実感できたいい経験ができた。

今回は医学部の麻酔科で研修をしていた歯科医師と医師の指導医が逮捕された。実情がよくわからないのでコメントしにくいが、登録や同意を得ていなかったようだ。

た だ歯科医師の医科麻酔研修は絶対に必要である。数年の口腔外科研修なんてあんまり意味はない。可能なら全部の歯科医師が経験してもいいと思うし、卒後研修 に義務化してほしいとも思う。これからの歯科は穴掘って埋めたりするだけが仕事ではなく、医科の中の一分野としての機能が求められているのだ。歯科医師は 多すぎて、ワーキングプアなんて言っている場合じゃない(笑)今までの状態にあぐらをかいて、ダメなのが多すぎる。。。ってなんで言わないのか?不思議で ある。努力や研鑽ができないものは消えていくのが他業界だと当たり前なんだが。。ただ正常になってきているだけだと思うが。。

医者からも一目おかれるような歯科医師にならないといけない。というか、患者はそれを求めはじめている。
今回の件で、研修においての締め付けが厳しくなるかもしれないが必要性をアピールし、結果として国民に有益であるということを議論するチャンスと捉えるべきである。